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社外取締役はなぜ必要なのか|設置義務が課される場合・期待される役割などを解説

2023.12.27 2024.02.22
社外取締役はなぜ必要なのか|設置義務が課される場合・期待される役割などを解説

INTRODUCTION

社外取締役の設置は、会社法や証券取引所の上場規則等により、一部の会社に義務付けられています。設置義務の対象となる会社は、ペナルティを回避するためにも、各種基準を踏まえて社外取締役を設置しなければなりません。また設置義務の対象ではない会社も、社外取締役を設置するメリットはありますので、自社の状況を踏まえて設置の必要性をご検討ください。今回は社外取締役の設置がなぜ必要となるかにつき、設置義務の対象要件や、社外取締役に期待される役割などを踏まえて解説します。

この記事を監修した弁護士
阿部 由羅
阿部 由羅ゆら総合法律事務所
西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て、ゆら総合法律事務所代表弁護士。不動産・金融・中小企業向けをはじめとした契約法務を得意としている。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。(第二東京弁護士会)

社外取締役はなぜ必要?

社外取締役の設置が必要となるのは、主に会社法や証券取引所の上場規則によって設置が義務付けられている場合です。そのほか、コーポレートガバナンスを強化する観点から、義務ではなくとも社外取締役を招聘することがあります。/p>

各種の設置義務・設置基準を満たすため

会社法上、委員会設置会社と一部の上場会社については、社外取締役の設置が義務付けられています(会社法399条の2第2項3316項、4001項~3項、会社法327条の2)。

また上場会社の場合、証券取引所の上場規則によって、社外取締役の設置が義務付けられます。

例えば東京証券取引所(東証)の有価証券上場規程436条の2、437条の2では、独立役員および社外取締役を確保すべき旨が規定されています。また、コーポレートガバナンス・コードでも独立社外取締役の選任が要請されています。

(独立役員の確保)
第436条の2
 上場内国会社は、一般株主保護のため、独立役員(一般株主と利益相反が生じるおそれのない社外取締役(会社法第2条第15号に規定する社外取締役であって、会社法施行規則(平成18年法務省令第12号)第2条第3項第5号に規定する社外役員に該当する者をいう。)又は社外監査役(会社法第2条第16号に規定する社外監査役であって、会社法施行規則第2条第3項第5号に規定する社外役員に該当する者をいう。)をいう。以下同じ。)を1名以上確保しなければならない。
2 独立役員の確保に関し、必要な事項については、施行規則で定める。
 追加〔平成21年12月30日〕、一部改正〔平成22年6月30日、平成25年7月16日、令和4年4月4日〕

(社外取締役の確保)
第437条の2
 上場内国会社は、社外取締役(会社法第2条第15号に規定する社外取締役をいう。)を1名以上確保しなければならない。
 追加〔令和3年3月1日〕、一部改正〔令和4年4月4日〕

このように、会社法や証券取引所の上場規則によって社外取締役の設置が義務付けられている場合、基準を満たす形で社外取締役を設置しなければなりません。

経営陣に対する監視機能を強化するため

経営陣に対する監視の強化により、不祥事等のリスクを低減することは、会社の安定的な成長を目指すうえでは非常に重要となります。

外部人材である社外取締役は、生え抜きの経営陣との癒着が生じにくいため、経営陣に対する監視の実効化に貢献できる可能性が高いです。そのため、コーポレートガバナンスの観点から、あえて社外取締役を招聘することがあります。

自社に足りない経験や専門性を加えるため

外部人材である社外取締役は、社内の環境下では育ちにくい経験や専門性を有している場合があります。自社に足りない経験や専門性を有する社外取締役を選任すると、経営陣のスキルバランスが改善し、経営判断の質が向上することが期待されます。

対外的に経営の透明性をアピールするため

外部から社外取締役を招聘することは、それ自体が対外的に経営の透明性をアピールすることに繋がります。社外取締役の招聘により、経営の公正性・透明性を高めようとするメッセージが伝われば、株主その他のステークホルダーからの信頼を獲得することに繋がるでしょう。

会社法上の社外取締役設置義務

ここからは、株式会において社外取締役の設置が義務付けられる場合につき解説します。まずは会社法上、社外取締役の設置が義務付けられるケースについて、詳しく見てみましょう。

委員会設置会社は社外取締役の設置が必須

委員会設置会社とは、取締役会の中に「委員会」を設置することで、経営監督機能と業務執行機能を分離した株式会社の組織形態です。委員会設置会社には、「監査等委員会設置会社」「指名委員会等設置会社」2種類があります。

監査等委員会設置会社とは

取締役会の中に「監査等委員会」という1つの委員会が設置され、取締役が業務執行を行います。

指名委員会等設置会社とは

これに対して指名委員会等設置会社では、取締役会の中に「指名委員会」「監査委員会」「報酬委員会」という3つの委員会が設置され、取締役とは別の機関である「執行役」が業務執行を担当します。

役割の違いは?

監査等委員会設置会社では、取締役の中から「監査等委員」が3人以上選任されますが、その過半数は社外取締役でなければなりません会社法399条の2第2項会社法331条6号)。したがって、監査等委員会設置会社では2名以上の社外取締役を設置する必要があります。指名委員会等設置会社では、取締役の中から3つの委員会を構成する委員を各3人以上選任しますが、それぞれ過半数を社外取締役とする必要があります(会社法400条1項~3項)。

各委員会の委員は兼任できるため、指名委員会等設置会社における社外取締役の最低人数は2人です。

上場会社等についても社外取締役の設置が義務化

202131日に改正会社法が施行され、以下の要件をすべて満たす会社は、1名以上の社外取締役を設置することが義務付けられました(会社法327条の2)。

(社外取締役の設置義務)
第三百二十七条の二 監査役会設置会社(公開会社であり、かつ、大会社であるものに限る。)であって金融商品取引法第二十四条第一項の規定によりその発行する株式について有価証券報告書を内閣総理大臣に提出しなければならないものは、社外取締役を置かなければならない。

  1. 監査役会設置会社であること
  2. 公開会社※であること
    ※公開会社=発行する株式のすべてにつき、株式譲渡に関して会社の承認を要する旨の定款の定めがない株式会社(会社法2条5号
  3. 大会社※であること
    ※大会社=最終事業年度に係る貸借対照表上の資本金が5億円以上、または負債総額が200億円以上の株式会社(会社法6条
  4. 金融商品取引法24条1項に基づき、有価証券報告書の提出義務を負っていること

会社法上の社外取締役が満たすべき要件

会社法上の社外取締役と認められるためには、以下の①~⑤の要件をすべて満たすことが必要です(会社法2条15号)。

  1. 当該会社または子会社の業務執行取締役等※でないこと
    ※業務執行取締役等=業務執行取締役、執行役、使用人
  2. 以下のいずれかの期間において、当該会社または子会社の業務執行取締役等でなかったこと
    ・社外取締役への就任前10年間
    ・社外取締役への就任前10年間に、会社または子会社の非業務執行取締役・会計参与・監査役であったことがある場合は、その就任前10年間
  3. 親会社等※またはその役員もしくは使用人でないこと
    ※親会社等=会社の経営を支配している個人または法人(会社法2条4号の2
  4. 兄弟会社※の業務執行取締役等でないこと
    ※兄弟会社=親会社等が経営を支配している別の会社
  5. 以下のいずれかの者の配偶者または二親等内の親族でないこと
    ・取締役
    ・執行役
    ・支配人その他の重要な使用人
    ・自然人である親会社等

会社法上の社外取締役設置義務を満たさない場合のペナルティ

会社法によって社外取締役の設置が義務付けられているにもかかわらず、必要な人数の社外取締役を設置しなかった場合、違反者は「100万円以下の過料」に処される可能性があります(会社法976条19号の219号の3)。

過料の対象となるのは、取締役・監査役・執行役・会計監査人・会計参与などです。

有価証券上場規程における社外取締役の設置義務

次に、東証のすべての上場会社に遵守が義務付けられている「有価証券上場規程」に基づく、社外取締役設置義務の内容を解説します。

上場会社は1名以上の独立役員・社外取締役の確保が必要

東証の上場内国会社は、必ず1名以上の「独立役員」を確保しなければなりません(有価証券上場規程436条の2第1項)。独立役員は、一般株主と利益相反が生じるおそれのない社外取締役または社外監査役であり、かつ会社法および会社法施行規則所定の要件を満たす必要があります。

社外監査役を独立役員として位置づける場合には、別途1名以上の社外取締役を確保しなければなりません(有価証券上場規程437条の2)。なお取締役の中にも、独立役員を少なくとも1名以上確保することが努力義務とされています(有価証券上場規程445条の4)。

独立役員が満たすべき「独立性基準」

一般株主と利益相反が生じるおそれがないかどうかについては、東証が定める「上場管理等に関するガイドライン」に沿って実質的に審査されます。

同ガイドラインIII 5.(3)2では、類型的に一般株主との利益相反が生じるおそれのある独立役員の例を、以下のとおり示しています。ただしこれらは例示に留まり、他の事情によって社外取締役・社外監査役の独立性を満たさないと判断されることもあり得る点に注意が必要です。

<独立性を満たさない者の例>

①会社を主要な取引先とする者もしくはその業務執行者、または会社の主要な取引先もしくはその業務執行者

②会社から役員報酬以外に多額の金銭等を得ているコンサルタント、会計専門家または法律専門家(法人の場合は、その団体に所属する者)

③最近において、①または②に該当していた者

④就任前10年以内のいずれかの時期において、以下のいずれかに該当していた者

・親会社の業務執行者、取締役(社外取締役が独立役員の場合は、監査役を含む)

・兄弟会社の業務執行者

⑤以下のいずれかの者(重要でない者を除く)の近親者

(a)①~④に該当する者

(b)会社の会計参与(社外監査役が独立役員である場合のみ。法人の場合は、その職務を行うべき社員を含む)

(c)子会社の業務執行者(社外取締役が独立役員の場合は、業務執行者でない取締役と会計参与を含む)

(d)親会社の業務執行者、取締役(社外取締役が独立役員の場合は、監査役を含む)

(e)兄弟会社の業務執行者

(f)最近において、(b)(c)または会社の業務執行者(社外取締役が独立役員の場合は、業務執行者でない取締役を含む)に該当していた者

 

独立役員・社外取締役の設置義務を満たさない場合のペナルティ

上場会社が、有価証券上場規程に基づく独立役員・社外取締役の設置義務を満たしていない場合、証券取引所による以下の措置の対象となる可能性があります。 

  • 特設注意市場銘柄への指定
  • 改善報告書の徴求
  • 公表措置
  • 上場契約違約金の徴求

また、投資対象物件としての適格性を喪失したと判断された場合には、上場廃止となることもあり得るので要注意です。

参考:上場会社の適格性の維持|日本取引所グループ

コーポレートガバナンス・コードにおける社外取締役の設置基準

東証プライム市場・スタンダード市場の上場会社には、有価証券上場規程に加えて、コーポレートガバナンス・コードに沿った社外取締役の設置も求められています。

プライム市場・スタンダード市場の上場会社は、独立社外取締役を一定数以上確保

プライム市場』の上場会社は取締役の3分の1以上、スタンダード市場の上場会社は2名以上の独立社外取締役を選任することが求められます(コーポレートガバナンス・コード 原則4-8)。

【原則4-8.独立社外取締役の有効な活用】
独立社外取締役は会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に寄与するように役割・責務を果たすべきであり、プライム市場上場会社はそのような資質を十分に備えた独立社外取締役を少なくとも3分の1(その他の市場の上場会社においては2名)以上選任すべきである。
また、上記にかかわらず、業種・規模・事業特性・機関設計・会社をとりまく環境等を総合的に勘案して、過半数の独立社外取締役を選任することが必要と考えるプライム市場上場会社(その他の市場の上場会社においては少なくとも3分の1以上の独立社外取締役を選任することが必要と考える上場会社)は、十分な人数の独立社外取締役を選任すべきである。

 

また上場会社に支配株主がいる場合には、支配株主からの独立性確保に関して、さらに高度の配慮が要求されます。具体的には、プライム市場の上場会社は取締役の過半数、スタンダード市場の上場会社は取締役の3分の1以上、支配株主からの独立性を有する独立社外取締役を選任することが求められます。

そうでなければ、支配株主と少数株主の利益が相反する重要な取引・行為について審議・検討を行う、独立性を有する者で構成された特別委員会を設置することが推奨されます(コーポレートガバナンス・コード 補充原則4-8③)。

4-8③

支配株主を有する上場会社は、取締役会において支配株主からの独立性を有する独立社外取締役を少なくとも3分の1以上(プライム市場上場会社においては過半数)選任するか、または支配株主と少数株主との利益が相反する重要な取引・行為について審議・検討を行う、独立社外取締役を含む独立性を有する者で構成された特別委員会を設置すべきである。

会社独自の独立性判断基準の策定が求められる

コーポレートガバナンス・コードで設置が要求されている「独立社外取締役」について、各上場会社は、独立性判断基準を独自に策定・開示することが求められています(コーポレートガバナンス・コード 原則4-9)。

その際、金融商品取引所が定める独立性基準(東証の場合は「上場管理等に関するガイドライン」)を踏まえること、および取締役会における率直・活発で建設的な検討への貢献が期待できる人物を候補者として選定すべきことが指摘されています。

コンプライ・オア・エクスプレインの原則|遵守しない場合は説明が必要

コーポレートガバナンス・コードには、「コンプライ・オア・エクスプレイン(Comply or explain)」の原則が採用されています。各上場会社は、自社に適用される原則であっても、自社の状況を踏まえて実施しない選択肢をとることができます。ただしその場合、東証に提出する「ガバナンス報告書」にその理由を記載し、説明責任を果たすことが必要です。

設置義務がなくても社外取締役を設置すべきか?

社外取締役が持つ客観性や独自の経験・専門性は、会社経営に対して大きなプラスをもたらす可能性があります。そのため、会社法や上場規則によって設置が義務付けられていないとしても、社外取締役の選任を検討することをお勧めいたします。

短期的には、「部外者が入ってきて経営がやりづらくなる」というイメージがあるかもしれません。しかし、会社の安定的・中長期的な成長を目指す過程では、社外取締役の必要性や果たすべき役割が大きくなってきます。特に将来的な株式上場(IPO)を目指す会社では、早い段階から社外取締役を選任することで、コーポレートガバナンス体制を整備することは有益です。

自社の状況を分析したうえで、会社に足りない要素を埋めてくれるような外部人材がいれば、積極的に社外取締役としての招聘をご検討ください。

参考文献

・改訂コーポレートガバナンス・コードの公表|日本取引所グループ
有価証券上場規程
会社法
金融商品取引法
上場管理等に関するガイドライン
上場会社の適格性の維持|日本取引所グループ
コーポレートガバナンス・コード

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